2025.09.16
電源装置の “Load-On Startup”(起動時負荷接続)タイプ
“Load-On Startup” に準拠すべき装置の種類
一部の電力機器は、起動時に負荷(load)が接続されていないと、正しく動作しなかったり、機器に損傷を与えたりする可能性があります。
静電容量のリアクタンスの式は、式2の通りです。
周波数fが増加すると、XCリアクタンスは小さくなります。静電容量は高周波を通過させ、低周波を遮断します。直流の場合、コンデンサは開回路です。
以下は、“Load-On Startup” に準拠すべき装置の例です
1.UPS(無停電電源装置)システム
- オンライン UPS:電源が切れたときでも、インバータが負荷に対して即時に電力を供給できることが必要です。
- バックアップ(オフライン/スタンバイ)UPS:主電源が停止した際、UPSは負荷が接続された状態で電池による電源供給を開始できなければならず、負荷の継続動作を保証する必要があります。
2.発電機
- 病院、データセンター、産業生産などの重要な領域では、負荷をかけた状態での起動が必要です。
- 特にディーゼル発電機などは、起動時に電圧と周波数を安定させ、負荷装置にすぐに電力を供給できることが求められます。
3.可変周波数ドライブ(VFD, Variable Frequency Drive)
- ポンプ、ファン、コンプレッサーなどのモーター制御装置は、スムーズな起動を保証するために負荷のある状態で始動することが必要で、装置の損傷を防ぎます。
4.ソーラーインバータ
- 系統連系型またはオフグリッド型のシステムにおいて、負荷が接続された状態でインバータの起動ができなければ、正常に電力を供給できない恐れがあります。
5.EV(電気自動車)充電器
- 一部の充電ステーションの電源装置は、車両が接続された状態(つまり負荷がある状態)で起動できる必要があり、これによりバッテリー充電効率の悪化を防ぎます。
6.産業機械および自動化機器
- 例として、CNC(数値制御)機械、ロボットアーム、コンプレッサーなど。これらの制御電源は、負荷を接続したままで安定して起動できることが重要で、そうでないと生産運用に支障が出る可能性があります。
テクシオのAELシリーズによる “Load-On Startup”のサポート
テクシオのAELシリーズ AC/DC 電子負荷装置(AC/DC Load)は、“Load-On Startup” をサポートしています。
【操作手順の概要】
- 被試験機(DUT: Device Under Test)を AEL シリーズの AC/DC 電子負荷器に接続し、DUT の電源をオフにします。
- AEL 装置の電源を入れ、「Config」(構成)ボタンを押します。設定シーケンスは以下の順になります
- EXTIN OFF → SYNC OFF → “LD ON” → “LDOFF” → “BW” → AVG → CPRSP → CYCLE → SNUB
- “LD ON” の設定では、負荷ON角度(Load ON angle)を設定できます。範囲は 0~359 度。
- 負荷電流を設定します。
- “Load ON” を押します。
- DUT が出力を開始するか、被試験機の電源を入れます。
【角度設定の説明】
DUTの出力電圧が 90度のときに、AELの負荷ON角度も90度に設定した場合の例が示されています。
また、AEL の角度を 0 度に設定した場合など、出力電圧と負荷角度が異なるケースも説明されています。
一般の電源装置は角度制御を持たない場合が多いですが、角度が異なっていても AEL シリーズの “Load-On Startup” 動作には影響がないとされています。