2021.06.09
オシロスコープ特集

テクシオ・テクノロジーではベンチトップの大容量メモリ・デジタルオシロスコープとして4シリーズをご用意しています。 デジタルオシロスコープは電気・電子回路の設計・生産現場では欠かせないツールとなっており、近年の半導体の性能向上により、 エントリークラスのオシロスコープでも高速・高機能・低価格化が進み様々なシーンで利用が広がっています。
今回はその製品の特長を交えてご紹介いたします。

高速波形更新レート

高速波形更新機能は、トリガにかかっていない状態や、トリガがかかっていても頻度の少ない状態で変化する低頻度信号を256諧調の輝度情報としてデジタルオシロスコープで表現することができます。まさにアナログオシロスコープに近い波形表現ができるデジタルオシロスコープです。


まるでアナログオシロスコープのように
これまでアナログオシロスコープを利用していたユーザーが、低価格優先でエントリークラスのデジタルオシロスコープに買い替え、一番困っていたケースが、波形更新レートの遅さによる波形変化の観測の難しさ、メモリの少なさによるエイリアシング(※)でした。
当社のDCS-1000B、DCS-2000E、MDO-2000Eシリーズは、全てのチャンネルで10Mの大容量メモリ、高速波形更新レートによる、ノイズやジッタといったブラウン管で「にじみ」のように見えていた波形の観測が、コストパフォーマンスを維持したまま導入することができます。

※:サンプリング周波数は(メモリ容量/時間軸レンジ)に比例し、遅い時間軸レンジではサンプリング
  周波数が低くなります。

DCS-1000B Series:最高50,000波形/秒
DCS-2000E Series:最高120,000波形/秒
MDO-2000E Series:最高120,000波形/秒

10Mポイント ロングメモリ

メモリの大きさのメリットは実際に使用される領域でも高速サンプリングを維持できること。サンプリング速度が速いモデルでもメモリが小さかったら、ナノ秒オーダーの観測でしかメリットを受けられません。当社のDCS-1000B、DCS-2000E、MDO-2000Eシリーズは、全てのチャンネルで10Mの大容量メモリ搭載。使用チャンネル数に影響せずに大容量メモリを使用することができます。



モーターなどの機械系・振動系にもおすすめ
電気信号だけではなく、モーター制御などの機械制御も同時に取りたい場合は、マイクロ秒~ミリ秒オーダーでもサンプリング速度が維持できる4chロングメモリオシロスコープがおすすめです。


フロアノイズの低減

エントリークラスでも妥協を許さない低ノイズ化
微小な信号を観測しようとするほど、オシロスコープ本体が発するノイズの影響を受けてしまいます。この部分は定格に記載されない「品位」のような部分ですが、DCS-1000B/2000E、MDO-2000Eはコストに妥協せず、しっかりとユーザーに満足いただける品位に仕上げました。

  
    [A社:1.6mVp-p]
  
    [当社DCS-2000E:0.4mVp-p]
  
    [B社:1.7mVp-p]



周波数ドメインの強化

FFTモード
エントリークラスはもともとメモリが少なく、FFTの様な高速演算を必要とする機能にも大きいメモリを割り当てることができませんでした。しかし、DCSシリーズは最大1MポイントのメモリをFFT演算に使用し500kポイントの結果を表示できる数少ないエントリークラスオシロスコープです。
FFT演算のポイント数が異なる製品でFM変調波の表示を見るとその違いがわかります。

  
    [C社 FFT表示]
 osc_fft_gds 
    [当社DCS-2000E FFT表示]
  
    [D社 FFT表示]


スペクトラムアナライザモードを搭載(MDO-2000Eシリーズのみ)
MDO-2000Eはスペクトラムアナライザのモードを搭載しました。これまでのFFT機能とは一線を画し、高速かつスペクトラムアナライザと同様の操作による周波数解析が可能になりました。


DCS-1000B Series:最高500KポイントのFFTが可能
DCS-2000E Series:最高500KポイントのFFTが可能
MDO-2000E Series:最高500KポイントのFFTおよびスペクトラムアナライザモードが使用可能

フィルタ機能

アナログフィルタ
DCS-2000E/MDO-2000Eの200MHzモデルは20MHz以外に100MHzのアナログフィルタを装備。電源機器のリップルノイズ評価で必要な20MHzと100MHzの帯域制限(アナログフィルタ)が使用できます。

デジタルフィルタ
リアルタイムに演算するデジタルフィルタによりローパス、ハイパス、バンドパスを実現し任意の周波数で切り分けることが可能。また、デジタルフィルタを使用した状態で、FFTを含む多くの機能を併用することもできます。(DCS-1000Bシリーズは無償オプションをインストール)


シリアルバス解析機能

CAN、LINを含むシリアルバス解析機能は全機種標準搭載で車載電装品の解析に役立ちます。

差動信号であるCANバスを、グランドとCAN-Hの2線でデコードが可能。グランドレベルの安定しない実車環境などでは差動プローブが必要ですが、設計や製造工程で安定したグランドレベルであれば、高価な差動プローブを使用せずにCANデータとアナログ信号の両方を観測できます。

対応シリアルバス:UART、SPI(4ch機種のみ)、I2C、CAN、LIN


データログ機能

データログ機能は、トリガがかかるたびに波形を保存するというシンプルな機能。長時間の中で発生する複数の事象をメモリに保存することができます。主にノイズ監視などや不定期に発生するトラブルシューティングで威力を発揮します。保存先は本体メモリ、USBメモリ、リモートディスク機能によるネットワーク共有フォルダが選択できます。(DCS-1000Bシリーズは無償オプションをインストール)

施設内電源ノイズの監視
商用電源から回り込む高周波ノイズの特定のため、電源波形を差動プローブを使用し、オシロスコープで観測します。トリガ結合を低周波除去(<70kHz)として、高周波ノイズが観測されるたびにトリガがかかり、波形を保存し続けます。


シリアルバストリガを利用した全データ保存
CANデータをトリガ条件にし、「アイドリングストップ」によるCANデータがネットワーク上に出るたびに、バッテリーの電圧や電流出力、ECUの挙動などを都度保存することができます。

周波数解析の自動化(MDO-2000Eシリーズのみ)

MDO-2000Eシリーズはオシロスコープに信号発生器が搭載されており、購入後FRA機能のソフトウェアをインストールすることで、周波数応答解析が可能になります。 フィルタやアンプの周波数特性や、電源機器のゲインフェーズ解析などで簡易評価が可能です。
(定電圧電源の位相余裕や利得余裕を評価する場合、外部に絶縁アンプが必要になります。)

 


大容量メモリ搭載デジタルオシロスコープ シリーズ比較

 シリーズ
     

  DCS-1000B      DCS-2000E

    

 MDO-2000EG   MDO-2000EX
 チャンネル数   2または4   2または4   2または4   4 
 周波数帯域   50/70/100MHz   100/200MHz   100/200MHz   100/200MHz
 サンプリング                最高1GS/s
 メモリ長                10Mポイント/チャンネル 
 更新レート   最高50,000波形/秒   最高120,000波形/秒
 画面サイズ   7インチ   8インチ
 データログ機能   無償オプション   標準
 デジタルフィルタ   無償オプション   標準
 メモリ分割   有償オプション   標準
 バス解析・トリガ   標準   標準
 サーチ機能   有償オプション   標準
 波形判定   波形   波形、多角形エリアマスク
 FRA機能   不可   無償オプション
 周波数解析機能   FFT   FFT、スペクトラムアナライザ
 通信機能   USB、LAN(4chのみ)   USB、LAN
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