2025.11.06
電源装置の “Load-On Startup”(起動時負荷接続)タイプ
“Load-On Startup” の仕様が適用される装置の種類
一部の電力機器は、起動時に負荷(load)が接続されていないと、正常に動作しない場合や、機器自体に損傷を与える可能性があります。
静電容量のリアクタンスは式2に示される通りであり、周波数fが増加するとリアクタンスXCは減少します。つまり、コンデンサは高周波成分を通過させ、低周波成分を遮断します。直流の場合、コンデンサは開回路として動作します。
1.UPS(無停電電源装置)システム
- オンラインUPS:電源が遮断された場合でも、インバータが即座に負荷へ電力を供給できることが求められます。
- バックアップ(オフライン/スタンバイ)UPS:主電源が停止した際、UPSは負荷が接続された状態で速やかに電池による電力供給を開始し、負荷の継続動作を確保する必要があります。
2.発電機
- 病院、データセンター、産業生産などの重要な分野では、負荷を伴った状態での機器の起動が求められます。
- 特にディーゼル発電機などは、起動時に電圧と周波数を安定させ、接続された負荷に対して即座に電力を供給できることが重要です。
3.可変周波数ドライブ(VFD, Variable Frequency Drive)
- ポンプ、ファン、コンプレッサーなどのモーター制御装置は、スムーズな起動を確保し、装置の損傷を防ぐために、負荷を伴った状態で始動する必要があります。
4.ソーラーインバータ
- 系統連系型またはオフグリッド型のシステムでは、負荷を伴った状態でインバータが起動できない場合、正常な電力供給が行えない恐れがあります。
5.EV(電気自動車)充電器
- 一部の充電ステーションの電源装置は、車両が接続された状態(すなわち負荷を伴った状態)で起動できる必要があり、これによりバッテリー充電効率の低下を防ぐことができます。
6.産業機械および自動化機器
- 例として、CNC(数値制御)機械、ロボットアーム、コンプレッサーなどが挙げられます。これらの制御電源は、負荷を伴った状態でも安定して起動できることが重要であり、そうでない場合、生産運用に支障をきたす可能性があります。
テクシオのAELシリーズによる “Load-On Startup”のサポート
テクシオの AELシリーズ AC/DC電子負荷装置(AC/DC Load)は、「Load-On Startup」機能に対応しています。
【操作手順の概要】
- 被試験機(DUT:Device Under Test)をAELシリーズのAC/DC電子負荷器に接続し、DUT の電源をオフにします。
- 次に、AEL装置の電源を入れ、「Config(構成)」ボタンを押します。設定シーケンスは以下の順で進行します:
- EXTIN OFF → SYNC OFF → “LD ON” → “LDOFF” → “BW” → AVG → CPRSP → CYCLE → SNUB
- “LD ON” の設定では、負荷ON角度(Load ON angle)を0~359度の範囲で指定できます。
- 続いて、負荷電流を設定します。
- “Load ON” ボタンを押します。
- 最後に、DUTが出力を開始するか、DUT の電源をオンにします。
【角度設定の説明】
DUT の出力電圧が90度のときに、AELの負荷ON角度も同じく90度に設定した場合の例が示されています。

また、AELの負荷角度を0度に設定した場合など、出力電圧と負荷角度が一致しないケースについても説明されています。

一般的な電源装置の多くは角度制御を備えていませんが、出力電圧の位相角が異なっていても、AELシリーズの「Load-On Startup」動作には影響しないとされています。




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