テクシオ・テクノロジーによるおじさんのためのIOT講座

リチウムイオン電池の扱いについて

今回はIOTでも使用頻度の高くなっている2次電池についての注意・知識を取り上げました。

現在の2次電池の主流として乾電池型のニッケル水素タイプと高出力型のリチウムイオン電池が
あります。このうちリチウムイオン電池はモバイルバッテリ、ハンディファン、ファン付作業服、ワイヤレスヘッドホンなどの小型のものから、EV向けバッテリ、ポータブル電源、家庭用
蓄電システムなどの大型のものまで広く普及しています。IOTでは各種センサやI/Oモジュール
の電源として容易に交換でき容量の大きいモバイルバッテリが使われてきています。モバイル・
ハンディタイプの測定器などの電池についてもニッケル水素タイプからリチウムイオンタイプ
に移行が進んでいます。


・寿命について
 リチウムイオン電池は明確な寿命があり、充放電の繰返しや満充電での放置をすると、内部
 の電解質の酸化や炭素電極の劣化により電池内部に可燃性のガスが蓄積されパッケージが
 膨らみ電池容量の減少充電時間が長くなります。容量が明確に減少した場合は寿命と
 してください。寿命がきたリチウムイオン電池は家庭ごみ、不燃ゴミ、産業廃棄物で捨て
 られません。廃棄方法は最後(↓)に説明があります。

・危険性について
 膨れた場合内部にたまった可燃性ガスが外部からの衝撃や充電時の温度上昇・気圧変化など
 により発火に至ります。また電池パックに傷がつくなどして内部のリチウムが空気に触れる
 と高熱となり発火することもあります。小型のタイプでは大量の水で消火できますが、
 消火器や防火用ブランケットなどが特に有効です。大型のタイプではリチウムと水が反応
 し熱が発生するので水での消火は難しく化学火災用の消火器が必用になります。

 専用機器を使用せすに電源・負荷装置で充放電をする場合は、電圧の上限・下限などの他に
 電池の表面の形状変化や温度にも注意が必用です。破裂や発火の可能性がありますので、
 異常があればすぐに停止してください。
 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の危険性に関する注意喚起


・輸送について
 リチウムイオン電池は強い衝撃が加わると発火の恐れがあるために宅急便などの輸送には
 制限があります。特に膨れている場合は少しの衝撃でも発火することがあるため取り扱いに
 注意が必用です。電池単体の輸送については書類やシールが別に必要な場合もあります。
 詳細についてはご利用の輸送業者にご確認ください。また高温となりやすい車内への放置
 は特に注意しなければなりません。



・航空機の持ち込みについて

 発火爆発などの事故の多発により機内持ち込みおよび預け荷物の制限がおこなわれています。
 基本はモバイルバッテリ向けですが、ノートPCやハンディファンなども電池の個数・容量に
 含まれます、機内では棚や鞄の中でなく目の届く場所に置くことが推奨されています。制限
 や申請の基準は常に変化しますので予約時に航空会社に確認しておいた方が良さそうです。
 会社によっては申請が必用な場合がありますので、電池の容量などを明確にし、膨張や傷
 などが無いことを確認しておくことをおすすめします。


・電池パックが膨れていない場合の廃棄
 電池パックにリサイクルマークがある場合 は、地域のゴミ回収で電池回収日があればそちらを
 利用してください。また自治体や電気店などが設置している家電回収ボックスの利用が可能
 です。電池が取り外せる場合は取り外して電極やコネクタをビニールテープで保護してから
 ボックスに入れてください。保護されていないとショートなどで火災が発生することがあり
 ます。リサイクルマークが無い場合は産業廃棄物となりますので業者に依頼してください。
 マークが無い電池を回収ボックスに入れると不法投棄として扱われますのでご注意ください。



・電池パックが膨れた後の廃棄
 リサイクルマークがない電池パックや本体が歪んでいたり膨れている場合は、電池ゴミや回収
 ボックスでの対応ができません
。 産業廃棄物業者でも回収できない場合がありますので、
 インターネットなどで対応できる業者を探して膨れた電池が処理できるかを確認したうえで
 回収を依頼してください。


 最近の猛暑などで使われたハンディファンやモバイルバッテリーの火災報告が増えています、
 不燃ごみなどに混入し清掃工場で火災が発生しゴミ収集ができなくなった事例もあるので
 廃棄時の混入には十分注意してください。捨てる場所がないとして不法投棄や放置すること
 はもっと危険
です。

・リチウム電池の分解・素材化について(おまけ)
 現在生産されているリチウムイオン電池は安全性を高める構造を優先するために分解が難しく
 なっています。また分解しても電極のコバルトやニッケルなどの高価な金属以外は費用の関係 
 から再利用されず廃棄となっています。コバルトやニッケルも電極として再利用するには難
 しいようで回収された電池の行方は気になるところです。大量廃棄されているEVや太陽電池
 などのニュースを見ているともっと環境に優しい物になってほしいと思います。

 再利用についてはEU電池規則 Regulation (EU) 2023/1542の施行の影響もあり、研究も
 盛んで変化していくと考えられていますが、当面は地球に優しくない状況は続きそうです。

 規則としては電池を内蔵している機器および電池を対象としバッテリーの製造、使用、
 リサイクルに至る各段階での環境負荷低減を目的となります。使用者が電池交換を容易に
 できる構造とするなども盛り込まれています。

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